コーヒーが好きで毎日飲んでいるけれど、「三大原種」と聞いてパッと全部を言い当てられる人は、意外と少ないかもしれません。
アラビカ種、ロブスタ種…あと一つは?
もしかすると、名前を聞いたこともない、という方もいるでしょう。
この記事では、コーヒー豆三大原種のそれぞれの個性や味わいの違い、さらには自宅で楽しむのにおすすめの商品や飲み方まで、まとめて深掘りしていきます。
読み終わるころには、今日の一杯の見え方が少し変わっているはずです。
そもそもコーヒー豆の三大原種とは
世界中で飲まれているコーヒーは、主に3つの原種から成り立っています。
それが、アラビカ種、カネフォラ種(通称ロブスタ種)、そしてリベリカ種です。
とはいえ、生産量で見ると、アラビカ種が約6割、ロブスタ種が約4割を占めていて、リベリカ種はわずか1%にも満たないレア中のレア。
「三大原種」と聞くと対等なイメージを持つかもしれませんが、普段みなさんが口にしているコーヒーのほとんどは、アラビカ種とロブスタ種の2つでできているんですね。
アラビカ種:コーヒーの王様と呼ばれる所以
スペシャルティコーヒーのお店に行くと「アラビカ100%」という表示をよく見かけますよね。
その風味の豊かさから、まさにコーヒーの王様と呼ぶにふさわしい存在です。
フルーティーで華やかな風味の秘密
アラビカ種の最大の魅力は、その繊細で多様なフレーバーにあります。
口に含んだときに感じるベリーやシトラスのような心地よい酸味、チョコレートやナッツを思わせる甘く深いコク。
産地や精製方法によって香りががらりと変わるので、飲み比べがとにかく楽しいんです。
この豊かな風味を生み出すには、ちょっとした育ちの良さが関係しています。
アラビカ種は標高1000メートル以上の高地で、昼夜の寒暖差がある場所でゆっくりと時間をかけて実を熟させます。
病害虫にも寒さにも弱い、お嬢様のような木だからこそ、手間ひまかけて育てられるんですね。
豆の見た目にも表れる上品さ
生豆を見る機会があれば、ぜひ形にも注目してみてください。
アラビカ種は楕円形で、豆の中央にある「センターカット」と呼ばれる溝が、くねっとS字に曲がっているのが特徴です。
ロブスタ種との一番わかりやすい見分け方なので、覚えておくとちょっと通な気分を味わえますよ。
ロブスタ種(カネフォラ種):力強さが光るブレンドの立役者
「ロブスタ種は味が劣る」なんて言葉を聞いたことがあるかもしれません。
でも、それはちょっと違います。
ロブスタ種は、そのパワフルな個性で、コーヒー文化を陰でがっちり支える名バイプレイヤーなんです。
エスプレッソに欠かせない苦味とコク
ロブスタ種をひと口飲めば、アラビカ種との違いに驚くはずです。
「焦げたゴム」や「土」と表現されることもある独特の強い苦味。フルーティーな酸味はほとんどなく、とにかくズシンと重たいコクが押し寄せてきます。
この強烈なボディ感は、カフェインの多さにも理由があります。含有量はアラビカ種の約2倍。
この個性が、イタリアンエスプレッソの世界では宝物になるんです。
ポンプ圧力をかけて一気に抽出するエスプレッソでは、ロブスタ種をブレンドすることで、表面を覆う黄金色の泡「クレマ」が分厚く、きめ細かくなります。
深煎りのアラビカ種だけでは出せない、ねっとりとした舌触りと飲みごたえは、まさにロブスタ種の力技です。
ベトナムで練乳をたっぷり入れて飲む濃厚なベトナムコーヒーも、このロブスタ種の強さがあってこそなんですね。
豆の形でわかる、たくましさ
見た目もアラビカ種とは対照的です。
形は丸っこく、センターカットはスッと一直線。
病害虫にも高温多湿にも強く、低地でも元気に育つたくましさが、見た目にも表れているようです。
安定した収穫量が見込めるため、インスタントコーヒーや缶コーヒーの原料としても、私たちの生活に欠かせない存在です。
リベリカ種:幻の原種が今、熱い注目を集めている
さて、ここからが本題です。
三大原種の最後の一つにして、おそらく最も謎に包まれた存在、それがリベリカ種です。
「飲んだことがない」どころか、「名前すら聞いたことがない」という方がほとんどかもしれません。
ジャックフルーツやバナナを思わせるトロピカルな香り
リベリカ種の味わいを一言で表すなら、「甘くてスモーキー」。
口に含むと、熟したジャックフルーツやバナナのような、南国フルーツを思わせる甘やかな香りがふわっと広がります。
その奥には、独特のスモーキーさや木の実のような風味が感じられて、好きな人はもうトリコになる唯一無二の味わいです。
ただ、正直に言うと、そのクセの強さから好みははっきり分かれます。
「なんだこれ?」で終わるか、「もう一度飲みたい!」となるか。
それすらも含めて、この希少なコーヒーを探し求める楽しみ方と言えるでしょう。
歴史の荒波を生き抜いたサバイバー
このリベリカ種、19世紀末にコーヒー産業を壊滅させた「サビ病」という病気の大流行で、枯れてしまったアラビカ種の代わりとして一気に栽培が広がった歴史があります。
病気に強いリベリカ種は、まさに救世主だったんですね。
しかし、その後アラビカ種の栽培が復活すると、徐々にその姿を消していきました。
高さが18メートルにもなる巨木になるため、収穫に手間がかかるのも、商業生産に向かなかった理由の一つです。
現在は、マレーシアやフィリピンなどごく一部の地域で栽培されているだけの、まさに「幻のコーヒー」。
フィリピンでは「バラコ(Barako)」という愛称でストロングコーヒーとして親しまれています。
そんな希少性と個性的なフレーバーが、いま世界中のコーヒーラバーの間で再評価されているんです。
自分で見つける、リベリカ種との出会い方
「飲んでみたい!」と思ったあなたは、ちょっとした探検家になる必要があります。
近所のスーパーではまず見つかりません。
一番の近道は、世界中の珍しい豆を扱うスペシャルティコーヒーのオンラインショップを探すこと。
フィリピン産の「バラココーヒー」や、マレーシア産のリベリカ豆が少量販売されていることがあります。
「My Liberica」といった専門ブランドをチェックしてみるのも面白いでしょう。
豆の形も個性的で、大きくていびつな、しずく型をしていることが多いです。
見つけたらラッキー。その一期一会の出会いを、じっくり味わってみてください。
三大原種の違いを知って、今日飲む一杯を選ぼう
最後に、これまでの話をざっくり整理してみましょう。
- 風味と香りが一番の決め手:華やかでフルーティーなコーヒーが好きなら、迷わずアラビカ種を。シングルオリジンで産地の違いを楽しむのもおすすめです。
- 力強い苦味とコクを求めるなら:ロブスタ種の出番。本格的なエスプレッソを自宅で楽しみたいなら、ロブスタ配合のブレンド豆を選んでみてください。Lavazza Crema e Gustoのようなイタリアンブレンドは、まさにその典型です。
- まだ見ぬ刺激を追い求めるなら:リベリカ種の豆を探す旅に出ましょう。通販サイトをこまめにチェックして、入荷のチャンスを狙う価値は大いにあります。
まずは、普段何気なく手に取っているコーヒー豆のパッケージを裏返して、原種の表示を確認してみてください。
「いつもはアラビカ100%だけど、たまにはロブスタブレンドのエスプレッソも悪くないかも」と思えたら、今日のコーヒータイムはきっと、いつもよりちょっと深い時間になりますよ。
あなたの一杯が、もっと自由に、もっと楽しくなりますように。

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